院長室から
ローカルホスピタルの使命
地域医療の崩壊を防ぐ!
急性期からリハビリまでを一元化し、地方の医療ニーズに応え続けてきた著者の取り組みとは?
現在、日本の医療が抱えている大きな問題として都市部と地方の医療格差があります。人口が多く生活も便利な都市部に医師が集中する一方で、地方は深刻な医師不足に悩まされており、厚生労働省が2024年に発表した都市部と地方の医師分布格差を示す医師偏在指標でも、東京都と岩手県では2倍近い差があります。こうした医師不足に加え病院の絶対数も少ない地方では、限られた医療資源のなかで、高齢化によって増え続ける医療ニーズにどう応えていくかが喫緊の課題となっています。
30年以上にわたり北海道苫小牧市で病院を経営している著者は、地方の医療機関がこうした課題を乗り越えるためには、病院、訪問看護、介護施設などが連携し、地域全体で住民の健康を支える体制の構築が不可欠であると訴えています。著者はその考えのもと2000年に北海道で初めて回復期リハビリテーション病棟を開設し、治療後の機能回復を重視したケア体制を整備しました。さらに臓器別の専門科に特化しすぎずにあえて総合内科的な診断をすることで、医師数を増やすことなくより幅広い患者の受け皿となり、地域の医療ニーズに応えてきました。
本書では長年にわたり地方医療に携わってきた著者が、高齢化が進む地方において医療機関が果たすべき役割について提言しています。また、急性期~慢性期~リハビリテーションを一元化した「地域完結型医療体制」のほか、介護・福祉との連携による在宅医療や緩和ケアの充実など、医療資源が限られている地方でも質の高い医療を提供しつづけてきた著者の取り組みについても詳しく解説しています。
地方で医療に携わりながらさまざまな課題に直面している人にとって、これからの地域医療のあるべき姿を考えるきっかけになる一冊です。
(Amazonの書籍紹介ページより抜粋)